古代文学会12月例会(第779回)のご案内
10月例会はハイブリッド開催といたします。会場での対面参加の感染対策は、各自ご留意の上ご参加くださいますようお願い申し上げます。
日時:12月7日(土)午後2時~5時(例会終了後、委員会を開きます)
※Zoom開始時刻は発表開始の15分前となっています。
場所:共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス 2号館606講義室
東京メトロ「神保町」駅下車 A8出口から徒歩1分
地図→https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/access/
発表者 : 藤嶋 健太 氏
題目 :天若日子の造形―「朝床」・「高胸坂」の表現から―
要旨 :『古事記』上巻に天若日子派遣の神話が記載されている。天若日子は葦原中国平定のために高天原から派遣されるが、八年間復命せず、天から来た鳴女を射殺す。高木神が矢をつき返すと、「朝床」に寝ていた天若日子は「高胸坂」に矢が当たって死ぬ。天若日子は「天上界の若者」(新編全集)とされるが、具体的にどのような性格の神として描かれているのだろうか。本発表では『古事記』に見える「朝床」と「高胸坂」の表現に注目して、天若日子の造形について考察する。
「朝床」の語は、『万葉集』(四一五〇)と『日本霊異記』(上・第二三縁、下・第一五縁)に用例が見出せる。特に『日本霊異記』に顕著なように、起きるべき時に「朝床」に居ることは異常な行為として捉えられ、その人物の傲慢な態度を読み取ることができる。天若日子の場合は、「天つ神の詔命」を伝達しに来た鳴女を射殺したうえで、「朝床」に寝ているという点から、異常性と傲慢な態度が読み取れるのである。
「高胸坂」は、坂のように高くなっている胸のこととする注釈が多いが、より積極的な意義付けも必要であろう。『古事記』上巻には、「黄泉比良坂」・「海坂」のほかに、大穴牟遅神が八十神を「坂の御尾」に追いやった例がある。上巻に登場する坂は異界との境界であり、離別・追放の場でもある。当該の場合、高木神が返した矢に当たったことで、天若日子の「邪心」が証明される。「高胸坂」は高天原からの追放の意義をも含み持った表現だと考える。
また、天若日子は高天原の神でありながら、鳴女を射殺したことで地上の神側の存在ともなった。天上の神と地上の神との間に位置する二重の存在であり、この性質は「高胸坂」という表記にも表れているのではないか。『古事記』における天若日子には、「朝床」・「高胸坂」の表現から傲慢な態度や二重性が読み取れる。こうした性格は、『古事記』独自に記載された天若日子の造形として読むことができるのである。
(司会:草山 洋平 氏)
※なお、発表資料及び要旨の著作権は発表者に帰属します。
◎次回以降の発表者
1月12日 岩下武彦氏(※第2日曜です)
2月1日 アンダソヴァ・マラル氏
【zoomによる例会参加方法】
①参加登録ページで登録してください。【古代文学会例会参加登録用URL】
https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tJ0pd–qrj8vEtFlmbA67urJN1IKpnh7Hrw5
②登録が済むと、ミーティング参加用URLなどの情報の確認メールが届きます。
③発表資料は例会の前日にアップロードされますので、以下のGoogle DriveのURLよりダウンロードしてください。(資料の著作権は発表者に属します)
https://drive.google.com/drive/folders/1i1YDJJe3Lb6q7prjrtBOAqgVRkpLOtFp?usp=sharing
④開催時間にメールに記載された参加リンクをクリックして、ご参加ください。
◎例会発表者を募集します。
現在、例会発表者を募集しております。発表希望の方は例会委員までご連絡ください。例会は、基本的に7・8月を除く毎月第1土曜日に開催されます。研究発表をご希望の方は、仮題目及び仮要旨(400字程度-文字数をお守りいただくようお願いします)を、発表希望月の4ヶ月前25日(例:10月発表希望なら、6月25日)までに、事務局(HP問い合わせメール)までお申込みください。採否は例会委員の審査を経て、委員会の承認にて決定いたします。承認後、本題目、本要旨(800字程度)を発表の前月15日までに事務局(HP問い合わせメール)と例会委員(reikai@
◎会員動向について
会員の学術出版を古代文学紙面にて告知するため、著書など出された方は事務局までお知らせください。今後いただいた情報につきましては、来年度雑誌『古代文学』64号誌面にて告知いたします。
◎委員会の開催と参加について
委員会を例会終了後(17時より)に開催いたします。ハイブリッドで開催いたします。維持会員の方にはこの例会通知とは別に委員会開催のお知らせが別途届くこととなります。ご参加願います。
◎ホームページについてのお知らせ
昨秋より古代文学会ホームページの表示不具合解消のためにホームページのURLが一部変わりました。これまでのURLをお気に入り(ブックマーク)に設定されている方は、新たなURLをご利用くださいますようお願い申し上げます。
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◎Zoom参加URLについて
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※例会準備のため例会前日までにお知らせください。