月例研究発表会(例会)

古代文学会4月例会(第783回)のご案内

 ハイブリッド開催といたします。会場での対面参加の感染対策は、各自ご留意の上ご参加くださいますようお願い申し上げます。

 日時:4月5日(土)午後2時~5時(例会終了後、委員会を開きます)
※Zoom開始時刻は発表開始の15分前となっています。
場所:共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス 本館1317教室
   東京メトロ「神保町」駅下車 A8出口から徒歩2分
   https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/access/

発表者:冨樫 進 氏
題目:和辻哲郎の『日本霊異記』理解が意味すること――『古寺巡礼』における薬師寺蔵・麻布著色吉祥天像評価を起点として
要旨:石井公成氏は、奈良時代における仏教的信仰の実態を明らかにする手掛かりとして『日本霊異記(以下「霊異記」)』中巻「愛欲を発し吉祥天女の像に恋ひて感応して奇しき表を示す縁 第十三」を取りあげ、現代人が理想視する純粋な「内面的信仰」の要素を欠き、ややもすると不純な「外面的行為」として軽視されがちな仏像への礼拝や称名・悔過への熱中を通じてこそ仏菩薩に対する〈信〉が深められていったと述べる(「行為としての信と夢見」)。
 本発表では石井氏の主張をふまえ、倫理学者・和辻哲郎(1889-1960)の評論『古寺巡礼』(初版1919)の分析を通じて、現代人が理想視する「内面的信仰」とは異質な、『霊異記』の世界に展開する、仏像への礼拝や称名・悔過を通じて形成される〈信〉の生成の契機の具体的な理解を目標とする。
 和辻は大正6年(1917)の奈良旅行にて麻布著色吉祥天女像(現、薬師寺蔵。以下「麻布吉祥天像」)を鑑賞した際、「地上の女であって神ではない」「『霊異記』に現れたような、素朴ながらも病的な、官能追求の気分から、誇張して感ぜられた女の美しさ」(『初版古寺巡礼』)などと、宗教画としては極めて低い評価を下す。和辻は人格向上を目指す近代的知識人としての自覚や、日本古代文化の淵源を人格主義・教養主義の理想郷たるギリシア文化に求める学術的立場に基づき、『古寺巡礼』において鑑賞対象となる仏像たちを「精神を高め心を浄化する芸術」と「官能を悦ばせる芸術」とに二分した上で、前者を高く評価しつつ後者を天平期特有の退廃的風潮の産物として軽視した。
 その一方で、和辻自身も「官能を悦ばせる芸術」の鑑賞を通じてしばしば仏像との感覚的合一を果たし、仏像に恋慕する「天平の人」の「心もち」にも共感を覚えるようになる。
 このような和辻の体験は、言説メディア(経典・説話)と視覚メディア(尊像)とが競合しつつ各々の機能を相互に補完・保証し合うことで成立する(拙稿「〈現前〉する観音菩薩」同「破かれた銅像と傷つけられた釈迦」)日本古代の仏教信仰の実態を推測する上で、きわめて示唆に富むものと思われる。
(司会:山本 大介 氏)
※なお、発表資料及び要旨の著作権は発表者に帰属します。 

【zoomによる例会参加方法】

①参加登録ページで登録してください。【古代文学会例会参加登録用URL
https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/meeting/register/ocmquX4URvase56IlhbKqQ

②登録が済むと、ミーティング参加用URLなどの情報の確認メールが届きます。

③発表資料は例会の前日にアップロードされますので、以下のGoogle DriveのURLよりダウンロードしてください。(資料の著作権は発表者に帰属します)
https://drive.google.com/drive/folders/1_OVYuxFqllHLzrLethej8PVhgFPwnX6M?usp=sharing

④開催時間にメールに記載された参加リンクをクリックして、ご参加ください。

次回以降の発表者
 5月10日:加藤希氏(第二土曜となります)
 6月7日:吉田修作氏

◎『古代文学』64号合評会
 『古代文学』64号(3月刊行)の合評会を5月11日(日)に開催いたします。
 会場は都合により4月に決定します。次回の例会案内を御覧下さい。

◎『古代文学』投稿規定の改定について
 2025年2月委員会で、投稿規定の一部が改訂されました。なお、投稿者に字数制限をきちんと守っていただくため今回の改訂となりました。
 論文審査の公平性などを鑑みた措置になりますので、65号以降にご投稿希望の会員諸氏においては、必ず制限をお守りくださいますようお願いいたします。

『古代文学』投稿規程を以下のように改定する。
【現行】
 二、投稿論文の枚数は、四百字詰原稿用紙四十枚以内(注を含む)とする。
【改定後】
 二、投稿論文の字数は、ワープロ設定で40 字×400 行以内(注を含む)とする。
*図表は1/4 頁=9 行、1/2 頁=18 行、1 頁=36 行に換算する。

例会発表者を募集します。
 現在、例会発表者を募集しております。発表希望の方は例会委員までご連絡ください。例会は、基本的に7・8月を除く毎月第1土曜日に開催されます。研究発表をご希望の方は、仮題目及び仮要旨(400字程度-文字数をお守りいただくようお願いします)を、発表希望月の4ヶ月前25日(例:10月発表希望なら、6月25日)までに、事務局(HP問い合わせメール)までお申込みください。採否は例会委員の審査を経て、委員会の承認にて決定いたします。承認後、本題目、本要旨(800字程度)を発表の前月15日までに事務局(HP問い合わせメール)と例会委員(reikai@kodaibungakukai.org)に提出してください。

◎会費納入について
※古代文学会の会費は年額4000円(維持会員は6000円)となっています。お支払い先は以下のゆうちょ銀行口座です(振込手数料はご負担ください)。
 ゆうちょ銀行(当座:〇一九店/0033896)
 振替記号番号 00100-0-33896
 口座名 古代文学会
※4月より2025年度となります。本年度も会費納入へのご協力よろしくお願いします。

◎会員動向について
 会員の学術出版を古代文学紙面にて告知するため、著書など出された方は事務局までお知らせください。今後いただいた情報につきましては、来年度雑誌『古代文学』64号誌面にて告知いたします。

◎委員会の開催と参加について
 委員会を例会終了後(17時より)に開催いたします。ハイブリッドで開催いたします。維持会員の方にはこの例会通知とは別に委員会開催のお知らせが別途届くこととなります。ご参加願います。

◎ホームページについてのお知らせ
 昨秋より古代文学会ホームページの表示不具合解消のためにホームページのURLが一部変わりました。これまでのURLをお気に入り(ブックマーク)に設定されている方は、新たなURLをご利用くださいますようお願い申し上げます。

旧URL:http://kodaibungakukai.org ⇒ 新URL:https://kodaibungakukai.org

◎Zoom参加URLについて
 Zoom参加URLが見づらい、読みづらい場合がありましたら事前にお知らせください。事務局(jimukyoku@kodaibungakukai.org)のメールにて別途URLをお送りいたします。
※例会準備のため例会前日までにお知らせください。